ご挨拶

第65回 近畿北陸地区歯科医学大会 会長
一般社団法人 富山県歯科医師会 会長
吉田 季彦 よしだ すえひこ

 近畿北陸地区歯科医学大会は、昭和23年(1948年)「日本歯科医師会 近畿北陸地区歯科医学大会」として開催され、本年が65回目の開催となります。
 この歴史と伝統のある大会が富山県歯科医師会創立100周年を迎える記念すべき年に富山県において12年ぶりに開催されることは誠に喜びに耐えません。これもひとえに近畿北陸地区歯科医師会の先生方のご尽力の賜物と心より感謝申し上げます。
 さて、現在の日本の歯科界は低迷し苦慮しているのが現状ですが、その一方 国民の口腔保健状態は改善され、健康な口腔を持つ人が増加してきていることも事実であります。この一見矛盾する状況をどのように認識すべきなのか?
 また、高齢社会が急速に進む中で、健康で生きがいのある生活が送れる長寿社会のために我々歯科医師が果たすべき役割を考えなければなりません。口腔が全身の健康に及ぼす影響については近年さまざまな角度から研究がされており、健康全般における歯科、すなわち口腔の健康の位置づけも明確になってきて おります。
 その一方、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴っ て発生した津波により東北から関東にかけての東日本一帯に甚大な被害を及ぼし、福島第一原発事故では、がれきの処理も含め環境問題が未だに大きな問題と なっております。
 そこで、前回の本県のテーマ「生命と環境」に引き続き、改めてこのことについて考えるため「生命と環境II‐その近未来を展望する-」を大会テーマとさせて いただきました。このテーマに沿った講演としてテレビでもおなじみの早稲田大学国際教養学部教授で環境問題にも詳しい池田清彦先生に「寿命はどこまで延ばせるか?」のテーマでご講演いただきます。
 特別講演IIでは全身と口腔の関わりについて、医科の立場から血管外科の第 一人者であり、本場米国の血管外科学を初めて日本に導入したパイオニアでもある東京医科歯科大学名誉教授・慶友会つくば血管センター長・日本静脈学会 理事長の岩井武尚先生に「口腔内弱毒菌と血管疾患との関連について」のテーマでご講演をいただきます。
 特別講演IIIでは歯科の立場から東京医科歯科大学大学院教授の和泉雄一先 生に「歯の健康力と全身の健康」のテーマでご講演いただきます。
 いずれのご講演も、全身の健康のため歯科の果たすべき役割について考えるにはお役に立つものと確信しております。また、秋の富山の味覚を満喫していただける時期でもありますので、多くの先生方、デンタルスタッフの皆様のご参加 を心よりお待ちしております。
 最後になりましたが、本大会を開催するにあたりご支援、ご協力を賜りました 関係各位に厚く御礼を申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。